トランジットジェネラルオフィス 代表取締役社長 中村貞裕x戸賀敬城 対談「ミーハー仕事術について」

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「100×1」も「1×100」も同じ「100」

戸賀敬城(以下、戸賀):僕も色々な人から“ミーハー”と言われるけど、中村君とは同じミーハーでも、ちょっと種類が違う気がする。僕らから見ると、中村君はミーハーだけど、ミーハーじゃなくて。中村君がよく言う「スーパーミーハー」のコンセプトや思いを、ミーハーとして聞きたいんだよね。

中村貞裕(以下、中村):小さい頃から色々なものに飛びついていました。例えば学生の時に、雑誌かテレビ観て「バスケ部かっこいいな」と、入るんですけど、数カ月で「なんかちょっといいかな……」と、幽霊部員になってしまう。

戸賀:「もういいかな」というのは、なんなの? なにか達成したわけじゃないじゃん。

中村:なんか……走ったりが、イヤだなって(笑)。向かないなと。続かないなと、イヤになって止めたりとか。「BOØWY」とか「THE BLUE HEARTS」が流行ると、バンドもいいなって。ギターを買って練習するんですけど、サザンオールスターズの「Ya Ya」の一部のフレーズだけ弾けて、弾ける気になってしまう。それで、もういいやってなっちゃって(笑)。

戸賀:あぁ……(笑)。

中村:「スチャダラパー」が流行ると、DJセットを買うんですけど、なんとなくレコードだけ買って、満足。練習してちょっと上手くなるんですけど、それ以上は上手くならない。彼女ができて、料理をしようと、オムライスを3時間くらいかけて作ったんですけど、それができると、「1個できるからいいや」になっちゃう。もうキリがないんです(笑)。ありとあらゆることを、チョコチョコチョコとやっては、次のことに飛びついて。 それはそれで、周りが何を言おうと楽しいんですけど、20歳くらいを過ぎると、何かをずっと続けている人たちがいるじゃないですか。バンドをやってきた人もいるし、大学のバスケ部で青春している人もいる。料理で働いている人もいる。みんな趣味以上になっている。根拠のない自信で、「もし僕が1年続けていたら、彼らよりできるんじゃないかな」とか思っていました。

でも、その根拠のない自信がどんどんコンプレックスになってきて……。「もしあの時続けていたらできるのに、続けなかった僕がいる」、と。 コンプレックスになっても、性格は変わらないので、ひとつのことを続けられないんですけどね。ひたすら色々と飛びついて、新しいこと、話題になっていること、目立っていることにどんどん寄っていっく。 そんな事をしていたら、伊勢丹に入って、藤巻さんに会った。伊勢丹も有名な会社で、百貨店だったら伊勢丹くらいの気持ちで入った訳です。同期が50人くらいるのに、藤巻さんは僕に「お前らの中で、何が一番流行ってるんだ?」と、聞いてきました。同期は「今度デート行くんだけど、どこがいい?」とか。「忘年会の幹事になっちゃったけど、どの店がいい?」とか。歩く「東京ウォーカー」みたいに言われていました。く浅く色々なことを知っている、トレンドに詳しい人になってきたんです。

ひとつのことを続ける人に「100」という到達点があったら、「100×1」になる。僕は「1×100」で、「1」の小さいことを「100」持っている。「100×1」も「1×100」も、同じ「100」なので、コンプレックスなく、僕も「100」だよって思えるようになりました。極めた人たちと同じだと思った瞬間から、それを「200」にも「300」にもするのが、全然苦じゃなく、楽しかった。 だから「ミーハー」ではなく、「スーパーミーハー」になることで、100以上の自分を作りました。

コンプレックスもないので、「100×1」の人と組んで「1万」にすることもできる。ミーハー仲間で集まって「500」にして、その掛け算で「1万」にも「2万」にもして、影響力のある仕事をすればいいんじゃないかと。自分がどういう人間か分かってから、チームを作って影響力のある仕事をしようとすることが、イベントやプロデュース、根本的なことでお店作りにつながっていきました。

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目利きになるため、インプットよりも大切なアウトプット

戸賀:こういった機会を生かすなかで、どうやって自分で学んでいったのかな。海外旅行にいっても、セキュリティに追い返されたりしたわけでしょう? レストランをするにしても、カフェをするにしても、どこで学んできたのかな?

中村:基本的には誰でもやっているようなことです。週に2~3回、代官山や六本木の蔦屋で、片っぱしから立ち読みをしています。書店からすると買えって感じでしょうが、実際に買うと読まなくて(笑)。トイレにいつか読もうと積み上げてしまうんです。その場で吸収する感じですね。片っ端から、今でいうウェブを見る感じで、バーっと見ていく。

気になるフレーズは頭に入って、入らなかったものはいいやと。 今だったらSNSなどもですね。ネットマガジンだったり、気になる人の「Instagram」をフォローしたり。あとはミーハー仲間です。いるんですよたくさん。夜な夜な集まっては、新しい情報を聞いたり、話したり。時間とお金があるときは、海外、特にニューヨークは定期的に行きます。日本でれば、地方の行列店を1日10軒、20軒と周ったり。雑誌で見ると、5坪くらいのイメージの店が100坪あったり。「かっこいいなぁ」と思っていたら、音楽がダサかったり。来てる人や働いている人がイマイチだったり。

実際に見て、ありとあらゆる方法で、頑張ってインプットします。ただそれだけだと、情報オタクなんですよ。何が流行るか分かるには、“目利き”にならなければならない。いい雑誌、いいメディアって、いい情報を出すじゃないですか。アウトプットすることが、目利きになれる一番の理由だと思っています。

戸賀さんのようにメディアを持っている人は、それを通じてアウトプット出来るし、今の時代はSNSもある。個人がメディアになれます。別にツールがなくても、“口コミ”という喋り捲ることが、ひとつの大きなメディアですよね。 それもあって、いい情報があればあるほど、色々な人に言います。「中村君に言えば広まってくれる」みたいな存在です。色々なお店で「宣伝部長」と言われていますから(笑)。いいお店があるとみんなに紹介する。会社でもグループLINEを作って、ちょっとしたものでも写真を撮ったりします。片っ端から、気になった情報をグループLINEに流す。ランチに連れて行くと、うちのスタッフも「ここに行きましたよ」ってやってくれる。「代々木八幡のこのカフェは知ってますか?」「いや、行ってない」とかね。会社で情報の言い合い合戦になっているんですよ。

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戸賀:それはいいよね。

中村:うちの会社に3年もいれば、僕と同じくらいのレベルで流行りの目利きになります。ポイントはインプット力ではなくて、アウトプット力です。アウトプットのことばかり考えています。

戸賀:それまではミーハー目線かもしれないけれど、アウトプットになると本格的な、プロっぽくなってくる。

中村:ジムに行くような感じで、アウトプットって続かないんですよ。インプットは簡単なんですけど、すぐみんな、アウトプットしなくなってしまう。それを意識してやっています。

戸賀:逆にここに興味ないとか、永久に行かないことある?

中村:IT系には全然興味がなくて……。

戸賀:そこは一緒かもしれない(笑)。

中村:一応、この間「TikTok」はいきました(笑)。一応ミーハーなんで、誰よりも早く、全部試してみるんですよ。4個くらい面白い映像が見つかって、すぐアップしたら、評判は良かった。そもそも「TikTok」をIT系と言ってる段階で、僕のレベルが分かると思うんですけどね(笑)。

─最終回の公開は7月25日を予定。「個人の夢ではなく、会社としての志」について伺います。

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PROFILE : トランジットジェネラルオフィス 代表取締役社長 中村貞裕(なかむら さだひろ)

1971年、東京都出身。
慶應義塾大学卒業後、伊勢丹へ入社。30歳で同社を退職し起業。カフェブームの立役者の一人で「Sign」といった人気カフェを経営する一方でプロデュース業やホテル等オペレーション事業、イベント・ケータリング事業など幅広く活動。いま最も注目される経営者の一人。ゴルフ歴3年、ベストスコア93

COOPERATION - 取材協力
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恵まれた地形を存分に活かして造られた丘陵コースで、自然との調和を大切にした設計は川田太三氏。各ホールは特徴が有り、プレーヤーの挑戦意欲を高める。幅広くゴルフを堪能できるコース。

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