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試乗レポート

日産GT-R、自然と「飛ばし」を意識させられるスポーツカー

ニッサンGT-Rといえば古くからのファンはスカイラインの最上級グレードを想像するかも知れない。だが現行のGT-Rは独立した立ち位置のスーパースポーツであり、最上級のポルシェに真っ向勝負を挑めるほどのポテンシャルを証明したことで世界にその名を轟かせている。デビュー以来進化を繰り返してきたGT-Rは今まさに円熟期を迎えている。

世界にその名を轟かせるGT-Rの歴史

ニッサンGT-Rの礎がスカイラインGT-Rにあることは日本の男子であれば周知の事実だろう。'60年代の終わりにスカイラインの最上級グレードとして誕生し、国内レースで無敵を誇ったドメスティック・ヒーローは、'80年代の終わりにターボ・エンジンや4輪駆動システムによって新たなスタンダードを確立したことで世界にその名を轟かせはじめる。めっぽう速く、チューニングにも寛容であり、しかし実用性にも優れるという独自のスタンスに対する評価は圧倒的で、スカイラインという冠が取れた現行GT-Rにも世界中の自動車ファンから熱い視線が注がれているのである。

スーパーカー然としたホンダNSXと比べると、高さのあるフロント・ボンネットとキャビン、そしてリアのトランクリッドを持つニッサンGT-Rはセダン由来の常識的なクルマに思える。室内も同様で、2ドアボディながらリアシートを備えており、またドライビングポジションも低すぎず、視界はすこぶる良い。スーパースポーツの世界を広く見渡せば、GT-Rのような高性能を誇るモデルはいくつかあるが、しかし実用性や快適性能まで考慮するならば、この和製スーパースポーツはオンリーワンの選択肢といえるのである。

21世紀のスーパースポーツの車体にはアルミニウムやカーボンファイバーといった軽量素材を用いることが珍しくない。だがGT-Rの基本骨格は伝統的なスティール・モノコックであり、これにより高い強度と広い室内スペースの両立に成功している。一方スタイリングは、GT-Rというクルマの筋骨隆々とした走りを想起させる独創的なもの。不連続のギクシャクとした造形はガンダムにインスピレーションを得たものとされ、欧米の影響を受けていない日本独自の文化が反映されている。

キャディバッグが2個入る余裕のラゲッジスペース

リアのスタイリングもボリューム感に溢れているが、しかし大型のリアウイングを載せたトランクリッドは小さめに見える。果たしてラゲッジスペースの使い勝手はどうなのだろうか。開口部をできるだけ小さくしてボディ剛性を稼ぐ手法はスーパースポーツの定石通りだが、それでもキャディバッグを横方向に2本余裕をもって収めることができてひと安心。それでもラゲッジスペースの奥にさらなる空間が存在するし、2名乗車の場合にはリアシートも有効な荷物置き場となるので、遠征にも十分対応できるだろう。走行性能まで加味すれば、ニッサンGT-Rこそ最強のゴルファーズ・エクスプレスと言い切れるのである。

ニッサンGT-R駆動系は、スカイラインGT-Rの時代から継承される「ターボ4駆」だが、実際の構成は複雑で他に似るものがない。フロントに配されるエンジンは570psを発生する3.8リッター V6ツインターボだが、瞬間的なシフトチェンジを実現するデュアルクラッチタイプの6速ギアボックスはエンジンの直後ではなくリアシート間あたりにマウントされることで前方に偏りがちな重量配分を是正している。エンジンが発生したパワーは車体後方のギアボックスに導かれ、そこから4輪に駆動力が配分される仕組みだ。最先端の4駆らしく、その駆動力は電子制御によって必要な車輪に必要なだけ分配されるシステムになっている。

キャロウェイ GBB EPIC ドライバーを想像させる加速感

超が付くほどの高性能に比して、ニッサンGT-Rのドライビングは特別な作法を必要としない。誰もが想像する位置に操作系が配されており、すんなりとエンジンを目覚めさせ、走り出すことができる。2007年にデビューしたニッサンGT-Rは毎年のように改良が施されるイヤーモデル制となっており、つまり現行モデルは10年以上も熟成が繰り返されてきたことになる。例えば初年度のモデルと比べると駆動系の滑らかな動きには隔世の感がある。デビュー当時は駆動系から絶えずガシャガシャとノイズが漏れていたが、圧倒的な高性能を考えればやむなしと思ったものだ。だが2010年頃にはそんな悪癖も消え、現在では巌のようなボディと滑らかな駆動の対比に高尚な雰囲気すら漂っているのである。

だがニッサンGT-Rがドイツのニュルブルクリンク・サーキットを徹底的に走り込んで開発された事実は有名であり、タウンスピードで垣間見ることができる世界には限界がある。千葉県のカレドニアンGCに至る1時間半ほどの道程は、この手のスーパースポーツのドライビングにうってつけといえる。高速道路主体とはいえ直線的ではなく、早朝であれば道もクリアだ。首都高速に合流したところで、重めのスロットルを踏み抜いてみる。車重1.7トンはスーパースポーツとしては重めだが、それを苦にせず一気に加速Gが立ち上がり、まるで離陸するジェット機の如くスピードを上げていく。実際のジェット機と違うのは上質な革巻きのステアリングやシートを通して路面の接地感がダイレクトに伝わってくる。 この加速感をゴルフギアで例えるなら、キャロウェイ GBB EPIC ドライバーだろうか。インパクトのほんの一瞬、ボールがフェイスに吸い付いたかと思うと想像以上の速さでボールが空に舞い上がって行く。圧倒的な加速感はフェイスの芯でボールを捕らえた時の爽快感に似ている。

コーナリングも同様で、ステアリングを切り込んでいくと瞬間的に穏やかなロールが発生し、狙ったラインに吸い込まれていく。コーナリングの始終に少しも軽薄なフィールが混じらない点は見事で狙い通りのコースを予感できるリニアリティが備わっているのである。

BRUDER 編集がオススメするポイント

圧倒的な動力性能を前面に押し出したGT-Rの走りだが、この手のスーパースポーツにつきものの引き締まった乗り心地が「不快」な方向に落ちていない点も素晴らしい。路面の凹凸を乗り越えるような場合でも精巧なサスペンションが振動を一発で吸収し、ボディに余韻を残さない。セミアニリンレザーで仕上げられたシートの乗り心地や程よく室内に響く排気音もGT-Rというスーパースポーツの上質な世界観を上手に表現しており、高揚した気持で挑むゴルフ場までの道のりからラウンドの余韻に浸る帰路まで、幅広いシチュエーションを快適にカバーしてくれる。

優れたエンジニアの独断が静的・動的質感に強く反映される傾向が強いヨーロッパ車に比べ、日本車は合議制による失敗のないモノ作りを特徴としている。このため日本車はすこぶる便利で信頼性が高い反面、強く訴えかけてくる個性が希薄であるという評価も根強い。だが独創的なメカニズムを起点として、そこから生み出される圧倒的な走行性能と見た目のダイナミズムが強烈な味となって伝わってくるGT-Rを無個性だなどと表現できる人物はいないだろう。車両価格が1000万円を越えるニッサンGT-Rだが、世界が憧れるジャパニーズ・スーパースポーツにはそれだけの価値がある。

NISSAN GT-R Premium edition (4WD)
メーカー希望小売価格:11,705,040円(税込)

  • ボディサイズ | 全長4,710 × 全幅1,895 × 全高1,370mm
  • ホイールベース | 2,780mm
  • エンジン |V型6気筒DOHC ツインターボエンジン
  • 排気量|3,799cc
  • 最高出力 |570ps(419kW) / 6,800 rpm
  • 最大トルク | 637N・m / 3,300-5,800 rpm

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