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試乗レポート

ホンダ NSX、まるでタイトリスト718CBアイアンの様な高い精度と許容性

我が国を代表する最新のスーパースポーツと言えばホンダNSXをおいて他にない。それはクルマ好きの憧れであると同時に、スポーツカーの未来を予感させるようなハイテクの塊でもある。セダン一辺倒の車歴を経て、最近乗りたいと思うクルマが見当たらないというゴルファーは、いっそのことNSXのような周囲を愕然とさせる1台に乗り換えて、カントリークラブまでの道のりに胸を高鳴らせてみるのも悪くはないだろう。

高性能を誇るが、難しい乗り物ではない

最初に理解すべきは、昨今のスーパースポーツはレーシングカー紛いの運転が難しい乗り物ではないという事実である。かつてのフェラーリはクラッチの重さゆえに女性では発進することすらままならないシロモノだったが、昨今のそれはオートマ免許を取ったばかりのドライバーでも運転を楽しめる。最新のホンダNSXは0-100km/h加速を3秒ほどでこなし、最高速は300km/hを優に越える高性能を誇るが、ドライブしやすいだけでなく、エアコンやナビゲーションシステムも扱いやすく、クルマとしての信頼性も高い。

技術を盛り込んだ2代目NSX

1991年に誕生した初代ホンダNSXもまさにそのような存在であり、それまでのスーパースポーツに欠けていた実用性の高さや信頼性により世界的な名声を得ている。昨年デビューを果たした2代目NSXは、初代の美点を受け継ぎつつ、世界初の技術を盛り込むことで再び注目を浴びている。

初代と同じく新型NSXでも骨格にはアルミニウムが用いられているが、スマートで女性的なシルエットを与えられていた初代と比べると今回ははるかに筋肉質な造形が目立ち男性的に纏められている。特にドアの直後に口を開けた鋭いエアインテークによってリア周りのボリュームが増しており、ミッドシップ・レイアウトであることが強調されている。

新型NSXはセンターコンソールに縦一列に並べられたスイッチで行うギアボックスの操作に多少戸惑う人がいるかもしれないが、基本的には直感的に扱えるはずだ。それでも基本的なシステムをひと通り理解してからドライブした方が初物づくしのハイテクをより深く楽しめるに違いない。

他に類を見ない構成のパワートレイン

新型NSXのパワートレーンは「スポーツハイブリッドSH-AWD」と命名されており、ガソリン・エンジンとモーターを併用するハイブリッドカーなのだが、その構成は他に例を見ないものになっている。ドライバーの背後に507psを発生する3.5リッターのV6ターボ・エンジンが置かれ、9速DCT(ATギアボックス)との間に48psのモーター1基が挟み込まれている。新型NSXはさらに前輪それぞれに37psのモーターが備わることでシステム総計581psの4輪駆動車となっている。コーナーで前輪のモーターを左右別々に制御することでステアリングの舵角だけでなく、駆動力配分においても積極的に曲がっていけるシステムになっている。

興味深いのはその生産体制で、NSXはホンダの製品でありながら、アメリカ・ホンダのオハイオ工場で生産されている。北米における販売台数が最も多いということがその理由なのだが、開発に関しても複雑なハイブリッド・パワートレーンは日本サイドが開発しているが、シャシーの設計や全体の煮詰めはアメリカで現地のエンジニアによって行なわれている。純日本的ともいえる緻密な高性能を売りとしながらも、クルマ全体に宿るダイナミックな気風はアメリカ人主導の結果であると考えていいのである。

ここがすごいぞ、NSX

新型NSXに乗り込む前にざっと前後のボディ形状をチェックするだけで、ラゲッジスペースにゴルフバッグを収めることができないと理解できそうだが、8.5インチの小型のゴルフバッグを1個収めることができる。これだけコンパクトなボディにハイブリッド4駆システムによる3つのモーターと大型バッテリーを搭載していることもあり、ラゲッジスペースの容量は限られているが、無理なく収めることが出来たのはさすが国産車と言える。

標準的なセダンに慣れたドライバーならば横方向にタイトなコクピットに驚きを禁じ得ないだろう。着座位置も低いので乗り降りにはちょっとした苦労を伴うことになる。けれど上質な革張りシートに一度腰かけてしまえばフィット感は非常に高く、またこの手のスーパースポーツとしては視界も良好なので、取り回しにこまることはない。近所の買い物グルマにするのは現実的とは言えないが、ゴルフ場へのアシとすることは充分に可能である。

センターコンソールでひと際目立つ銀色のダイヤルはシフトセレクターではなく、走行モードを切り替えるインテグレーテッド・ダイナミクス・システムのセレクトダイヤルである。標準モードがスポーツで、その上にスポーツプラスとトラックモードが備わる。一方ハイブリッドカーらしく、EV優先の静かな走行に終始するクワイエットモードも用意されているので、早朝に住宅街を抜けていくようなシーンで重宝するはずだ。

ギアをDレンジに入れて走りだすと、滑らかな加速がはじまるが、攻撃的なスタイリングに比してエンジン音はとても静かな印象を受ける。冒頭に記したようにNSXは飛び切り速いクルマであるにもかかわらず、そのドライブは非常に容易で、またクワイエットモードかスポーツモードならば長距離ドライブを快適にこなせる乗り心地が確保されている。

高速道路の流れに合流しスロットルを深く踏み込んでみると、エンジン音が高鳴り3つのモーターもフル稼働して581psが解放され、独特のワープ感に包まれる。感心させられるのは、ターボが本領を発揮するまでの僅かなタイムラグをモーターがしっかりと穴埋めしている点で、ペースを上げていっても滑らかで快適な世界観に変化は起こらない。ただしポルシェ911ターボSやランボルギーニ・ウラカンといったヨーロッパ製のライバルと比べると、NSXは全域でスムーズであるがゆえに大パワー車特有の迫力というか凄みが希薄であるという点は否定できない。

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新型NSXの走りにおいて、特にその本領が発揮されるのはツイスティなカーブが続く山道で、こういったステージでは前輪に仕込まれた2基のモーターによるトルクベクタリングが効果的に機能し、どこまでスピードを上げていっても狙った通りのラインを走れるようなオンザレール感覚に捉われる。腕に覚えがある人ならすぐにスポーツハイブリッドSH-AWDの効果に感心させられるはずだし、例え経験の少ないドライバーでもボディ剛性の高さをつぶさに感じながら、スーパースポーツを操る充足感に比較的容易に浸ることができるだろう。

快適で素早いドライブを終えてカントリークラブに到着すると、エントランスにいた数人が一斉にスマホのカメラをこちらに向けてきたことでも、新型NSXの注目度の高さが理解できる。見た目は精悍そのもので、ドライビングにもシビアな感覚が求められそうな雰囲気だが、実際にステアリングを握ってみると、見た目の印象とは異なるやさしさを兼ね備えている。そんな新型NSXのキャラクターをゴルフクラブに例えるならば、タイトリスト718CBアイアンのような感じだろうか。高い精度と許容性がほどよいバランスの、期待以上の1台なのである。

HONDA NSX
メーカー希望小売価格:23,700,000円(税込)

  • ボディサイズ | 全長4,490 × 全幅1,940 × 全高1,215mm
  • ホイールベース | 2,630mm
  • エンジン | 水冷V型6気筒縦置 DOHC チェーン駆動 吸気2 排気2
  • 排気量|3,492cc
  • 最高出力 |507ps(373kW) / 6,500-7,500 rpm
  • 最大トルク | 550N・m / 2,000-6,000 rpm

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