CAR

試乗レポート

陸上のコンチネンタル・クルーズを標榜する、ベントレー コンチネンタル GT

2017.11.14

  • ベントレー
  • コンチネンタルGT
  • クーペ
  • ハッチバッグ
  • 乗車人数4名+キャディバッグ積載2個

イギリスが誇るプレミアム・ブランド、ベントレー。コンチネンタルGTスピードは歴史に裏打ちされたグランドツアラーとして今なおシーンを牽引し続けている。陸上のコンチネンタル・クルーズを標榜する豪奢なGTクーペが提唱する旅の意味は奥深い。

オートモビルの世界において「GT」というサフィクスが容易に用いられるようになったのはいつの頃からだろうか。グランド・ツーリングという言葉の意味を紐解けばわかるように、それはクルマによる壮大な旅であり、起源は古く内燃機関の付いた馬車の時代にまで遡る。1888年にロンドンで生を受けたウォルター・オーウェン・ベントレー。生粋のエンジニアだった彼が成長の過程において憧れを抱いたモータリングの世界もまた、遥かなる旅と同義だった。石造りの家のように堅牢で、しかし誰よりも速いスピードで長距離を走破できるクルマこそ、自動車草創期における優位性に他ならなかったからである。

島国イギリスの人々が思い描いた旅、それはドーバー海峡の向こうに広がる大陸=コンチネンタルだった。1930年代、海峡を越えコンチネンタル・クルーズを愉しむことはイギリス王侯貴族の嗜みとして認知されていたのである。今日のベントレーを代表するモデル、コンチネンタルGTのネーミングはつまり、そこに由来している。

優雅なロングノーズボンネット直下に6リッターのW12ツインターボ・エンジンをひた隠し、クレバーな4輪駆動システムと相まって易々と300km/hオーバーの高みに到達する。何層にも塗り重ねられた艶やかなボディと、選び抜かれた皮革素材によって仕立てられた豪奢な室内空間もブランドの格を静かに物語る。21世紀を代表するグランドツアラー、ベントレー・コンチネンタルGTが華々しくデビューしたのは2003年のことだった。

今日のベントレーが、今なお連綿と続く血統を色濃く継承しているように、コンチネンタルGTにもまた精神的なマスターピースが存在する。1952年に顧客の注文によって誂えられたスペシャル・モデル、ベントレーRタイプ・コンチネンタルである。

筋肉質の女性の肢体にも例えられる優美なボディを与えられたRタイプ・コンチネンタルは、本質を見抜く眼を持った粋人たちに広く愛された。ファースト・オーナーは普段からベントレーの上顧客であるイギリス貴族が多かったが、ペルシャやインドの王室、海運王のアリストテレス・オナシス、そして小説「007」の作者であるイアン・フレミングといった錚々たる面々がオーナーズ・リストに名を連ねていたのである。

ガレージの扉がゆっくりと開き、鋭く差し込む朝陽がバーント・オレンジに染め上げられたボディのエッジを浮き上がらせる。ゴルフコースに向かうための愛車はいくつかあるのだが、最近はベントレー・コンチネンタルGTスピード ブラックエディションのキーに手が伸びることが多い。今日の目的地は千葉県のカレドニアン・ゴルフクラブ。朝靄に煙る街中を静々と走りつつ、ベントレーを選ぶ理由を自問する。

最高出力642psのW12ツインターボ・エンジンの性能を享受するには空いたハイウェイが最適だが、コンチネンタルGTスピードは朝の首都高速で必ず出くわす渋滞も苦にならない。全長4.8m、全幅1.9m越えという立派な体躯はしかし、高いアイポイントによって車体の四隅を把握しやすい。ダイヤモンドステッチが入れられた極上のセミアニリンハイドで構成されたインテリアは紳士の為のサロンのようでもあり、ゆったりと走る能力にも長けているのである。

だが一方で、長いスロットルトラベルの奥底には、かつてル・マン24時間レースを6度も制したDNAに通じる圧倒的なパワーが潜んでいる。ゴルフにおける攻めと守りのスタンスにも似た2面性。結局のところ、私がコンチネンラルGTスピードに惹かれる理由はそれなのである。

京葉道、千葉東金、圏央道……、混み具合も路面のコンディションも異なる道程において、ベントレー・コンチネンタルGTスピードは極めて安楽な魔法の絨毯であり続ける。このクルマが標榜する2面性は、物理的に証明することができる。特に極上の乗り心地と、一線級のスポーツカーを凌駕するほどのスタビリティを両立する可変のエアサスペンションシステムはその要といえる。センターコンソールにあるスイッチによって、ナビモニターにサスペンションのセッティングが映し出される。コンフォートからスポーツまでエアサスの硬さを4段階に変更することで、コンチネンタルGTスピードは極上の乗り心地を誇るサルーンから驚速のスポーツカーへと瞬時に変貌するのだ。

千葉東金から松尾横芝までの路面は轍や凹凸が少なくないのだが、コンフォートモードを選べばステアリングのリニアリティはそのままに、路面の凹凸だけがキレイに霧散する。目の前に広がる荒れた路面と浮遊感の強いスムーズライドの落差は相当なもの。コーナーにおいてもロールが適度に抑えられるので自然とペースも高まる。

コンチネンタルGTスピードの性能的な幅を支えているのはサスペンションだけではない。上質なレザーが奢られた快適なシートもスムーズライドの完成度を高め、適度に張り出したサイドサポートによってコーナリング時の上体をやさしく支えてくれる。フロントシートにオプション設定されたマッサージ機能もほどよい疲れを伴った帰路に欠かせない。

すっかりベントレーの伝統として認識された感の強いW12ツインターボ・エンジン。このハイエンド・ユニットの本懐もまた、普段使いの速度域はもちろんのこと300km/hオーバーでも発揮される極上のリニアリティにある。スロットルの踏みはじめから得られる分厚いトルクの放流に後押しされた淀みのない加速。それは大パワーを敢えてひけらかすことなく、しかり乗り手に一切のストレスを強いることもない優れたGTカーの資質といえる。その違いは長距離を走った際の疲労の多寡となって現れる。

とはいえ、時おり空いたハイウェイでベントレーの荒々しい本性に触れてみたいと考えるのは、イギリスが誇るGTカーのステアリングを握る者の心に湧き上がるごく自然な感情といえるだろう。642psという圧倒的なパワーの全開放を受けてもなお平常心を失わない4輪駆動システムと剛性感の高い車体が生み出す安定した挙動もまた、ベントレー・コンチネンタルGTスピードというクルマの底知れぬポテンシャルを下支えしている。

ヨーロッパのハーフティンバー様式を思わせるカレドニアン・ゴルフクラブのエントランスに到着し、スイッチひとつでトランクを自動開閉させる。ベントレー・コンチネンタルGTスピードの一体感のあるボディは、SUVのように室内空間を優先してデザインされてはいないが、それでもボディサイズの恩恵によって必要にして十分な室内空間とラゲッジスペースを確保している。

上質なカーペットが敷き詰められたリアのラゲッジスペースはゴルフバッグを横方向に収めることは難しいのだが、奥行きには充分な余裕があるので、斜め方向に2つのバッグを収納できる。フロア面の高さも低すぎることがなく、荷物の出し入れもスムーズにできる点が嬉しい。英国貴族のライフスタイルとゴルフには強い結びつきがあるので、長年彼らのためにクルマを誂えてきたベントレーのラゲッジスペース作りには隙がないのだろう。

ベントレーをドライブする際、乗り手は服装に気を配るべきだろう。ゴルフクラブを訪ねる時と同じように、自動車世界の古豪にも尊敬をもって臨むべきだからである。極上のサウンド空間を演出するオーディオ・システム「Naim for Bentley」で響かせる音源も洗練されたチョイスを要する。ゴルフクラブから帰路ならば、ビル・エバンスのような角の取れたピアノの音色が心地よい。良い音とシートに備わるマッサージ機能によって、コンチネンタルGTスピードは究極のリラクゼーション・スペースとなるのである。

男の人生は、壮大な旅=グランド・ツーリングに例えることができる。愛車は旅に欠かせない友であり、またオーナーの地位と趣味性を雄弁と物語る存在でもある。ベントレー・コンチネンタルGTスピードというクルマに出会ってから、イギリスが誇る自動車ブランドの歴史や彼の地の文化にがぜん興味が湧いてきたし、ゴルフのファッションにもイギリス発祥のアイテムを盛り込むことが多くなっている。

とはいえイギリス貴族でもないのだから、普段はカジュアルにコンチネンタルGTスピードに接することにしている。ゴルフのスコアは今なお更新し続けているし、ビジネスにおける将来的なビジョンもはっきりとある。私はベントレーを駆って、人生をかけた旅をしている最中なのである。

BENTLEY CONTINENTAL GT
メーカー希望小売価格:27,100,000円(税込)

  • ボディサイズ | 全長4,820 × 全幅1,945 × 全高1,400mm
  • ホイールベース | 2,745mm
  • エンジン | 6.0リッター W12ツインターボチャージド
  • 排気量|5,998cc
  • 最高出力 | 642ps(472kW) / 5,900rpm
  • 最大トルク | 840N・m / 2,000rpm

問い合わせ先

ベントレー
ベントレーコールフリーダイヤル:0120-97-7797http://www.volkswagen.co.jp/ja.html

ジョーンズスポーツ(キャディバッグ) ニーディープ : Tel 03-5422-6421 http://www.kneedeep.jp

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