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試乗レポート

ハイエンドカブリオレの妖艶な世界観 メルセデスAMG S63 4MATIC Cabriolet

2017.10.31

  • ドイツ車
  • AMG S63 4MATIC Cabriolet
  • カブリオレ
  • ハイエンドモデル

プレミアムサルーンのベンチマークとして君臨するメルセデス・ベンツSクラス。そのカブリオレ仕様は昨年、美しいボディフォルムを与えられて衝撃的なデビューを飾った。今回はさらなるハイエンドモデルとして、独創的な世界観を披露し、圧倒的な存在感を放つメルセデスAMG S63 4マチック カブリオレをピックアップ。585ps/900Nmという強烈なパワーがもたらすリアルなパフォーマンスに迫る。

日本にも4シーター・カブリオレは存在するが、梅雨のある我が国ではカテゴリーとして育まれてこなかった。やはり本場はヨーロッパ。その分野を牽引するのはドイツ勢だ。冬は晴れる日が少なく、太陽光を浴びること自体が贅沢な行為とされる風土。それをクルマに求めたのはある意味必然であり、その歓びを家族で共有できる4シーター・モデルが充実しているのも頷けるバックグラウンドがある。

さらに懐が深いのは、ドイツだけではないが、エクスクルーシブモデルのカルチャーが息づいていることだ。高級なクーペやカブリオレは、いま自動車業界を席巻するSUVやエコカーとは対極に位置する、趣味性の強いクラスだが、1000万円どころか2000万円超のモデルが富裕層のステイタスシンボルとして認知されている。もちろん大きなセールスこそ見込めないものの、マーケットは確実に存在する。長い間、成功者の証として愛され続けてきたのだ。いっぽう自動車メーカーは、目には見えないブランドの価値を高めるために、とても重要なポジショニングとして捉えている。だからこそ憧れや夢を抱くことができるクルマに真摯に向き合ってきた歴史がある。

あくまでマイノリティな高級クーペ&カブリオレの世界だが、今なおその熱気は失っていないようだ。2016年、メルセデス・ベンツはW111型280SE 3.5カブリオレ以来の4シーター・カブリオレとして、Sクラス・カブリオレを44年ぶりにリバイバルさせた。Sクラスといえばサルーンのベンチマークとしてのイメージは強いが、そこに加わった新境地の優雅なカブリオレ。その話題性以上に「Sクラスをカブリオレにすると、こんなに艶っぽくなるのか」と、誰もが色気のあるラグジュアリーなコンバーチブルの登場に、素直な感覚を本能的に抱いたはずだ。さらなるハイエンドモデルとなるAMG版は、そのスポーツバージョンという解釈である。

衣装:ツイードジャケット ¥378,000 ブルーニット ¥255,960 スウェットパンツ ¥225,720 スニーカー ¥98,280/ ロロ・ピアーナ

なにより圧巻なのは、全長5mオーバーの体躯から発せられる存在感である。カブリオレの生命線といえる美しいフォルムが見事に描き出されているだけでなく、塊から削り出した様なシンボリックなデザインが視覚的に訴えてくる。とはいえ、Sクラス・サルーンのような押し出し感は薄められており、AMGモデル専用のエアロパーツがフロントとサイドステップに控えめに装着され、エレガンスとスポーツが見事な調和をもって共存している。ソフトトップを閉めた状態では、クーペスタイルとなるわけだが、実はこれが重要で、カブリオレといっても日常はこちらがデフォルトのスタイリングとなるからだ。傾斜の強いフロントスクリーンからルーフ部で繋いだラインはごく自然に、流れるようにリアエンドに溶け込んでいる。クーペスタイルが美しいこともS63の特徴でもある。

まさしく本能を刺激する優美なボディフォルムにばかり目を奪われがちだが、S63のステータス性をさらに高めているのは、そのノーズに収められたメルセデスAMG製のV8ユニットだ。現在でこそ、メルセデスの各シリーズラインナップのフラッグシップモデルとして位置付けられているAMGだが、もともとエンジン設計会社として、レーシングシーンで栄光を掴み取り、世界に名を轟かせた独立系チューナーだった。大きなエンジンを小さなボディに叩き込む——そんな荒技を実現できた技術力を武器に、モータースポーツ分野やロードカーの分野でメルセデスと段階的に関係を深め、ハウスチューナーとなった。2005年にはグループ傘下に収まり、ブランド化されて現在に至っているが、エンジンへの拘りは半端ではない。

写真中:腕時計 205,200円 (税込) /カルティエ ヴィンテージ

AMGエンジンはワンマン・ワンエンジンという手法で、ひとりの技工が専属でひとつのエンジンの組み付けを行ってきた。それは創業から続く理念であり、いまでも受け継がれている伝統である。クルマを取り巻くすべてのベクトルが効率化へと向かう時代において、ハンドメイドを貫く。本物だけが持つリアルな価値観——メルセデスAMGの名を冠するということは、それだけでスペシャルな存在であり、ステータス性も濃密なのである。S63には585ps/900Nmという、数字だけ聞けば暴力的なパワーの持ち主なのかと、妄想させるには十分な5.5リッターV8ツインターボ・エンジンが与えられているが、そのパフォーマンスを堪能すべく、巨大なドアを開け放ち、AMG専用となるナッパレザーシートに乗り込むと、ナッパレザーとアルミ、ウッドで設えた曲線基調の別世界が広がっていた。見られること、いや見せることを前提としたアレンジだとはいえ、高い質感が生み出している上質さは期待を裏切らない雰囲気を醸し出している。所有感を満たしてくれる、その完成度にメルセデスの妥協なき精神の一端を感じた。

写真右:キャディバッグ JONES RIDER FOREST GREEN 68,040円 (税込) /ジョーンズスポーツ ニーディープ

センターコンソールのスイッチを操作すると、ソフトトップは約20秒で後方に収納される。50km/hまでならば、走行時でも開閉ができるため、突然の天候悪化にも瞬時に対応できる利便性を有している。ただし、ルーフを開けると、トランクルーム容量が350リットルから250リットルに減少するが、キャディバッグはなんとか1個収まる。

やはりルーフを開け放つと、4シーター・カブリオレ特有の解放感は圧倒的だ。リアルに空と一体になった感覚がある。しかし、そのトレードオフとして避けては通れないのが、ボディ剛性である。サルーンやフィックスドクーペと比べれば、強度的に劣るのは致し方ないところだが、方策としてリヤのバルクヘッド(隔壁)にマグネシウムとアルミニウムを採用し、ボディシェルの強化に加え、軽量化を推進。2シーター・カブリオレとは違い、これだけ開口部が広いと、剛性を保つだけでも技術的には難しくなるはずだが、アクセルを急に煽って急加速してみても、段差を乗り越えてもボディ前後の動きに差異は感じられず、カブリオレ専用のシャシーチューニングは功を奏しているようである。

同時に指摘される快適性についても、この分野のトレンドセッターだけあって、ネガティブな要素をすべて最新テクノロジーでフォローアップしている。もっともケアしなければならない室内空間への風の流入に対しては、フロントウインドウ上部に空気の流れを上方に跳ね上げるウインドディフレクターと、リアシート後方にキャビンへの風の巻き込みを抑制するドラフトストップを装備することで対応している。もちろんそれだけではない。シートのヘッドレスト部分に設けたエアベンチレーションから温風を吹き出すエアスカーフ、ステアリングホイールやドアアームレスト、センターアームレストに与えられたヒーター機構など、まさにメルセデスらしい徹底したホスピタリティが整えられていた。風はほとんど巻き込んでこないし、エアスカーフは走行状況によって電子制御で温風をコントロールしてくれるから暑過ぎず寒過ぎず、テクノロジーの恩恵を享受することができた。屋根を開けていることを忘れるくらいとまでは言わないが、これまで味わってきた快適性とは質が違う感じだ。クーペスタイルにすると、3層構造のソフトトップの効果か、クローズドボディのような静粛性が印象的だった。

スターターボタンを押し、V8に火を入れると、エンジンは唸りを上げるが、そのサウンドは想像よりも控えめだ。ドライブモードを“S(スポーツ)”や“M(マニュアル)”にすると、AMG専用のエキゾーストシステムが内蔵するフラップを操作して、サウンドは怒涛の加速とともに高鳴っていく。ダウンシフトすれば7速のAMGスピードシフトMCTと連動してブリッピングが入ってドライバーの五感を刺激するが、タウンスピードでは品のあるレベルに抑えられている。

ただしパフォーマンスは強烈極まりない。ボディウエイトが2210kgであろうと、走り出してしまえばまったく関係ない。もはやパワースペックが500psを超えている時点で、オンロードでは100%その実力を味わうことはできないが、900Nmのトルクはどの速度から加速しようとS63をどこまでも前に推進させ続ける。終始ストレスフリー。グランドツアラーであるから、あくまでハイウエイでこそ真髄を堪能できるが、ワインディングの登りセクションを駆け上がる際の加速フィールは「これぞAMGエンジンの真骨頂」とばかりに秘めたる実力を見せつけてくれる。しかも4マチックが安心感を担保してくれているのがなんとも心強い。

それでも抜群の制御を披露し続けてくれるAMGエアマチックサスペンションがもたらしてくれる乗り味を知れば、S63で速く走ろうという気にならないから不思議だ。どこを走ろうと、常に良質な乗り心地を提供してくれる。足まわりをきめ細かく、コントロールしているのだろう!? というのも、ドライバーはその瞬間がわからないというか、わからないように動かしているというのが正解か。初期の動きだけ、やや重たいというか、硬さを感じるが、あとはドライバーが選んだ道の状況によって、エアサスがすべてを完了させてくれる。それでいてフレンドリーというか、優しいフィールが印象的である。だからアクセルを踏もうと思わないし、その優美なスタイリングからしても、上品に走らせることが正義なのだという結論に至った。

それでは最大の魅力ともいえるAMGエンジンはなんのためにあるのか。ということになるわけだが、そもそも、高級なクーペ&カブリオレの本質は、誤解を恐れずに言うならば、“無駄の美学”にあると思う。 S63は2750万円という“超”がつくほどのモデルだが、そもそも効率の良いパッケージを追求するクルマづくりの基本からは遠いところに位置し、4シーターとはいえ、あくまでもエゴイスティックに、個人的な満足のために存在している。本能で感じるクルマだ。だからこそライフスタイルに彩りを添えてくれるし、所有感も高い。無駄の先にあるもの。そこに真なるステータスが宿るのではないだろうか。とんでもない性能のエンジンを持ちながら、実力はいつでも出せるが普段は出さない。鋭い牙を隠して日常は美しいカブリオレとしてその官能に向き合う。AMGモデルではあるが、それができるのがS63の魅力のひとつでもある。

Mercedes AMG S63 4MATIC Cabriolet
メーカー希望小売価格:27,500,000円(税込)

  • ボディサイズ | 全長5,045 × 全幅1,915 × 全高1,430mm
  • ホイールベース | 2,945mm
  • エンジン | DOHC V型8気筒ツインターボチャージャー付
  • 排気量|5,461cc
  • 最高出力 | 585ps(430kW) / 5,500rpm
  • 最大トルク | 900N・m / 2,250~3,750rpm

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■撮影協力:双日株式会社

60年以上に亘りボーイング社と一体にとなって民間航空機の販売活動に従事しており、日本向けの販売機数は700機以上の実績を誇る。ビジネスジェット機の分野においても2003年より先駆的に販売事業を取り組んでおり、ビジネスジェット機の運航管理及びチャーター販売を含め、業界における長年の経験に基づく最高品質のおもてなしサービスの提供を通じて、国内外におけるビジネスジェット機のオーナー様やお客様から絶大なる信頼を得ている。
双日株式会社 ビジネスジェットチーム Tel: 03-6871-2508 メール:bizjet@sojitz.com

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ日本 : フリーダイヤル 0120-190-610 http://www.mercedes-benz.co.jp

ロロ・ピアーナ ロロ・ピアーナ ジャパン : フリーダイヤル 03-3263-8243 https://www.loropiana.com/jp/

ジョーンズスポーツ(キャディバッグ) ニーディープ : Tel 03-5422-6421 http://www.kneedeep.jp

カルティエヴィンテージ 江口時計店 : Tel 0422-27-2900 https://eguchi-store.jp/

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