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試乗レポート

ビューティ&ヘビーデューティ、レンジローバー「ヴェラール」

2017.09.22

  • イギリス車
  • レンジローバー
  • ヴェラール
  • SUV
  • キャディバッグ4個

エレガントなデザインと本格的な性能の組み合わせで話題になっているニューモデルが、レンジローバー・ヴェラール。美しい佇まいだけでなく、快適な走行性能やフルサイズのゴルフバッグを横置きできる実用性など、ゴルファーにふさわしい性能を備えたSUVの試乗レポートを紹介しよう。

ジュネーブ国際モーターショーは、春の訪れを告げる自動車業界の恒例行事。世界五大モーターショーの中でも、ジュネーブはスーパーカーに代表される華のあるモデルが出展されることで知られ、ある種の社交の場となっている。 2017年春、その華やかな雰囲気のジュネーブショーの会場で、最も人目を集めたのがレンジローバー・ヴェラールだった。ヘッドランプやフロントバンパーなどに段差やつなぎ目がないツルンとしたフォルムは、まるでコンセプトカーのようだ。ボディから凹凸をなくすために、ドアハンドルを格納式にしてドアに埋め込むほどの念の入りように、初めてヴェラールを目のあたりにしたジャーナリストからは「本当にこのままの形で市販化するのか」という疑問の声が上がった。

それほど、このクルマのデザインはインパクトがあったのだ。もしヴェラールがゴルフクラブの車寄せに現れたら、どんなにセンスの良い人が乗っているのか、つい覗き込みたくなるだろう。

レンジローバー・ヴェラールというモデルをひと言で説明すれば、見る者を魅了する美しいデザインと、レンジローバー伝統のタフで快適な走行性能を組み合わせたSUVである。“ビューティ&ヘビーデューティ”という、世界にも類を見ない個性的なモデルなのだ。

ヴェラールのデザイン的な特徴はふたつある。ひとつは前述した、つるりとした表面処理だ。アメリカのカスタマイズカーの世界に、段差やつなぎ目を極力なくす「スムージング」という手法があるが、ヴェラールはメーカーみずからが手の込んだカスタマイズを施した印象だ。

もうひとつの特徴は、後方に向けて下がっていくルーフのラインだ。このクーペのような屋根のラインによって、ヴェラールはエレガントであると同時に、いかにも速く走りそうな躍動感あふれるフォルムになっている。レンジローバーは、イヴォークでクーペ的なスタイリングに挑んだが、ヴェラールはさらに一歩踏み込んだ印象だ。

このようにデザインには凝っているけれど、ボディの面に複雑な凹凸をあたえたり、尖ったキャラクターラインを与えていないのが面白い。シンプルでありながら他に似たクルマが思いつかない個性的な造形を実現するにあたり、デザインチームの能力が高いことをうかがわせる。ボディカラーや見る角度、光の位置によって、無垢の金属を削り出したようにも見えれば、シルクのようにやわらかい質感だと感じることもあるヴェラールは、実に興味深いデザインだ。

しかも美しさと実用性を両立している点も見逃せない。ラゲッジスペースは広いうえに形状も工夫され、フルサイズのキャディバッグを横にして置くことができるし、無理をすれば4個積むことも可能だ。4人でゴルフ場に向かうことが少なくなった時代だが、ゆったりと座れる居住空間と合わせて、快適に4名でゴルフクラブに向かうことができるのだ。

ヴェラールのデザインを手がけたのは、ランドローバー社のチーフ・デザイン・オフィサーを務めるジェリー・マクガバンと、エクステリアデザイン担当のジェレミー・ウォーターマン。デザインにあたっては、「リダクショニズム」というテーマが掲げられたという。直訳すれば「還元主義」となるが、かみ砕けばデザインの各要素を磨き込み、シンプルさを極めたということだ。ギラギラ、ゴテゴテしていないのに存在感のあるヴェラールのエクステリアは、デザイン陣の狙いを見事に具現している。

外観に目を奪われがちであるけれど、実はインテリアのデザインも秀でている。乗り込んで最初に感じるのは、シンプルで美しいというエクステリアの世界観が、インテリアでも表現されていることだ。“外”と“内”がシームレスにつながっているあたりは、デザインチームの意思統一がきちんと図られていることを証明している。

インテリアで感心するのは、伝統と革新が見事に融合されていることだ。まず、周囲を見渡しやすい、背もたれを立たせた状態で座る「コマンドポジション」と呼ばれるドライビングポジションは、初代レンジローバーからの伝統を継承する。この姿勢で座ると、すっと背筋が伸びる。同時に、なめらかでしなやかなレザーや、深い艶のあるウッドなど、選りすぐりの素材が使われることもレンジローバーの文法通り。シートに施されたステッチが実に美しい。その一方で、伝統を守るだけでなく革新にも取り組んでいる。

乗り込んだ瞬間にインテリアのデザインが新しいと感じるのは、上下2段構成になっている10.2インチの液晶画面が目に飛び込んでくるからだ。このタッチスクリーンは、見た目だけでなく、スマートフォンやタブレット端末のように触れることで直感的に操作できるインターフェイスも新しい。またタッチスクリーンを採用することで空調やオーディオの操作スイッチ類がなくなり、インテリアはすっきりと整理された。

ドライバーに豊富な情報と音楽などのエンターテインメントを提供するインフォテインメントシステム「Touch Pro Du」は、ヴェラールの全グレードに標準装備される。ほかに、メーターパネル内に地図などの情報を表示する「TFTバーチャルコクピット」や、視線を移動せずに速度などの情報を見ることができるヘッドアップディスプレイなどの先進装備も用意される。

レザーやウッドなどの素材選びが伝統的だと記したが、実はインテリア素材にも革新が進行している。デンマークの高級素材メーカーであるクヴァドラ社と共同開発した新しい素材も用いられているのだ。このように、伝統と革新が同居し、しかも美しく融合しているあたり、エクステリアに負けず劣らずインテリアのデザイン性も高い。

ヴェラールが搭載するエンジンのラインナップは、ディーゼル1種、ガソリン3種の計4種。まずD180と呼ばれるディーゼルは、2リッター直列4気筒のディーゼルターボで、最高出力は180ps。ガソリンは、「INGENIUM(インジニウム)」とよばれる新開発の2リッター直列4気筒ターボが2種類。ひとつは最高出力250psのP250、もうひとつが最高出力300psのP300。そして最もハイパフォーマンスなのが最高出力380psを発生する3リッターV型6気筒(+スーパーチャージャー)のP380である。いずれのエンジンもそれぞれ特徴があるので、使い方に合わせて選択したい。たとえば、ストップ&ゴーの多い都内で使うのであれば、低回転域から豊かなトルクを提供するディーゼルエンジンが使いやすい。

このディーゼルエンジンの滑らかさと静かさは特筆もので、ベテランのモータージャーナリストをして「ブラインドテストをしたらガソリンと区別がつかない」と言わしめたほど。確かに、「トゥルルル」という軽やかな回転フィールは、ディーゼルエンジンに対するイメージを覆す。 ゴルフクラブまでの遠距離ドライブが多い方にとっては、ディーゼルエンジンの経済性も魅力的に映るはず。しかも快適で経済的であるだけでなく、ボディを力強く推進させるのでファン・トゥ・ドライブも感じさせる。

今回撮影したV6のP380は軽快な回転フィールが特徴で、さわやかに回転を上げて、気持ちよく加速させる。シームレスかつ迅速に変速する出来の良い8段ATの助けもあって、高回転域でのエンジンの伸び感が心地よい。

ただし、ディーゼルとガソリンのどちらがヴェラールというクルマの性格に合っているかといえば、ディーゼルに軍配をあげたい。都市部のストップ&ゴーで心強いと書いたが、それはオフロードでも同じ。強力なトルクに身を委ねてのドライブは、安心感と快適さに包まれる。いずれにせよ、ディーゼルとガソリンでお悩みになった方には、ぜひディーラーで試乗することをお薦めしたい。

パワートレーンとともに、ヴェラールの高級感を引き立てるのはしなやかで懐の深い足まわりだ。どっしりとした重厚感と安定感、しかしコーナリングでは軽やかに身を翻すという、矛盾した性能が1台のなかで両立している点が印象に残る。高速道路では安楽なドライブを楽しみ、ゴルフクラブ近くのワインディングロードではハンドリングを楽しむ。そんな“一粒で二度おいしい”楽しみ方ができるクルマだ。背の高いSUVでありながら、ゆったりと寛げる快適な乗り心地を提供するあたりは、レンジローバーで培った技術と経験のなせる技だろう。

サスペンションにはコイルスプリング式と電子制御式のエアサスペンションの2種類が用意される。エアサスは、速度域や路面状況に応じて、自動で車高を調整する機能が備わる。ちなみにカタログにはどのくらいの水深に耐えるかを示す「渡河水深」という指標が表示されるが、コイルスプリング式だと600mm、エアサスだと650mmが確保される。日本で使う場合にここまでの性能が必要かどうかは別として、渡河水深を明示するあたりにSUV専業メーカーであるランドローバー社のプライドを垣間見た気がする。渡河水深のみならず、悪路走破性能にぬかりはない。最低地上高251mmと30度のディパーチャーアングルを確保する基本設計に加えて、急勾配の下り坂での安定性を保つHDC(ヒル・ディセント・コントロール)など、電子制御式のデバイスも充実している。

ゴルファーのクルマ選びでこうしたタフな性能は不要と思われる方もいるかもしれない。けれども夏のゲリラ豪雨、冬の降雪や降霜など、ヘビーデューティなクルマはやはり安全のマージンが大きいのだ。プレー後の疲れた身体や渋滞時にもやさしい、ドライバーをアシストする装備も先進的だ。危険を察知すると作動する自動緊急ブレーキ、車線をはみ出ると警告するレーンデパーチャーワーニング、スピードリミッター付クルーズコントロールなど、ドライバーとプレイヤーの負担を軽減する装備が用意されている。

最後になったが、レンジローバーというブランドについても説明しておいたほうがいいだろう。というのも、レンジローバーという自動車メーカーがあると誤解なさっている方も多いからだ(それだけレンジローバーというブランド力が突出しているとも言えるが)。

レンジローバーは、SUV専門メーカーであるランドローバー社の1ブランド。ランドローバーには3つのラインがあり、まずひとつがタフでシンプルなディフェンダー。現在は日本への正規輸入を中断しているが、新モデルの投入と同時に再び日本市場にも導入されるはずだ。 2つめが、他用途で使われるディスカバリー。そして3つめが最もプレミアムなレンジローバーだ。このレンジローバーにも、アヴァンギャルドなデザインで人気を博すレンジローバー・イヴォーク、オンロードに重心を置いたスポーティなレンジローバー・スポーツ、そしてレンジローバーの3モデルが存在した。そこに4番目のレンジローバーとして加わったのがヴェラールである。このランドローバー社のブランド力は、ロイヤル・ワラントが与えられることでもわかる。

ロイヤル・ワラントとは簡単に言えば「英国王室御用達」である。こう書くと「宮内庁御用達」をイメージする方もいるかもしれないが、宮内庁御用達の制度はすでに廃止されている。一方、ロイヤル・ワラントは現存の制度。ワラント(証明書)を授けるのはエリザベス女王、その配偶者エディンバラ公フィリップ、そしてふたりの長男であるチャールズ皇太子の3名で、この3名に最低で5年にわたって商品やサービスを提供した企業や個人にワラントが与えられる。しかもランドローバーは、この3名すべてからワラントを授けられているという、希少な企業である。

ランドローバーのカタログなどには「By Appointment(御用達)」の文言とともに、ロイヤル・アームスという紋章が掲げられている。こんな背景を知ると、ランドローバーと英国発祥のゴルフというスポーツの距離がさらに縮まるような気がするはずだ。

RANGE ROVER VELAR S P380
車両本体価格:10,090,000円から(税込)※車両価格は参考価格でオプションによって変わります。予めご了承ください。

  • ボディサイズ | 全長4,803×全幅2,032×全高1,665mm
  • ホイールベース | 2,874mm
  • エンジン | 3.0リッター V6 スーパーチャージド ガソリンエンジン
  • 排気量|2,995CC
  • 最高出力 | 380PS(280kW)/ 6,500 rpm
  • 最大トルク | 45.9gm(450Nm) 3,500 rpm

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問い合わせ先

ジャガー ランドローバー ジャパン : フリーダイヤル 0120-18-5568

ランドローバー: http://www.landrover.co.jp/index.html

ジョーンズスポーツ(キャディバッグ) ニーディープ : Tel 03-5422-6421 http://www.kneedeep.jp

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