CAR

試乗レポート

美しさと走りの魅力が融合、レクサス「LC500」

2017.06.20

  • 日本車
  • レクサス
  • LC500
  • 4シーター
  • プレミアムクーペ

プレミアムブランドにはそのブランドの象徴となるラグジュアリークーペが必要だ。レクサスのコンセプトカー、LF-LCは2012年の発表以来、市販を期待する声が高まり続けていたが、ついにLC500として発売された。LC500には5リッターV8と3.5リッターV6+ハイブリッドシステムという、トヨタが長年かけて熟成させてきた2種類の心臓部が設定され、いずれも最新の変速機と組みあわされてる。5リッターV8のLC500をテストした。

モーターショーに飾られるコンセプトカーの塗装は、市販車の何倍ものコストがかけられている。高価な塗料を用い、何層も重ねて塗装される。それに最適なライティングを組み合わせることで、陰影が際立ち、深みのある色が出るのだ。レクサスLC500を最初に見た際、それが晴れた日の屋外という悪条件だったにもかかわらず、コンセプトカーを見ているような印象を受けた。

太陽光を反射してできたハイライトはまぶしく、シャドウ部分は深く暗いため、ボディの複雑な曲面が強調されていた。この赤いボディカラーはラディアントレッド・コントラストレイアリングという有償ペイントで、異なる材料(塗料)を5層に重ね塗りすることで深みのある色合いを実現しているそうだ。見る角度によって表情を変える官能的なボディカラーが、LC500の複雑な面構成を強調している。

航空機のキャノピーのように絞り込まれたキャビンのためか、一見さほど大きいようには見えないが、実際には全長4770mm、全幅1920mm、全高1345mm、ホイールベース2870mmと、堂々たる体躯の2+2クーペだ。フロントマスクのスピンドルグリルはレクサスの各モデルに共通するデザインだが、そのサイズはレクサス史上最大級。エレガントな全体の中でここだけが獰猛な印象だ。

長いフロントノーズの後部(キャビン寄り)に収まるのは、レクサスが歴代「F」バッジを付けたモデルに搭載してきた5リッターV8エンジンだ。最高出力477ps/7100rpm、最大トルク55.1kgm/4800rpmを発揮する。これに新開発の10速ATが組み合わせられる。ATの多段化はトレンドにあるが、目的はエンジンのパワーを効率よく路面に伝えるため。ただし、単に多段化しただけでは重量が増え、せっかく上げた効率を失ってしまうし、変速の機会が増えれば増えるほど乗員にショックが伝わる機会も増えてしまう。

この点、LC500の10速ATは軽量コンパクトに設計され、多段化によって変速時のエンジン回転数の変化も小さくなり、変速ショックが低減されている。そのいっぽうで発進時以外はほぼ全域でロックアップ(ギア同士がフルードを介さずダイレクトに接しているイメージ)するため、効率がよく、またダイレクト感も失われていない。実際に走らせると、とりわけスポーツモードやスポーツ+モードを選んだ際にダン、ダンとダイレクト感あふれる変速を楽しむことができた。パドルを使ってマニュアル操作を楽しむのもいい。

レクサスのV8エンジンは、本来、スムーズに、伸びやかに回転上昇し、それに伴ってよくチューニングされた排気音が高まり、パワーもどんどんあふれ出してくるタイプだが、新しいATによって、必要な瞬間に必要なだけ即座にパワーを引き出せるようになった。過給器付きエンジン全盛の時代にレクサスは自然吸気エンジンで孤軍奮闘するが、カタログに記載される絶対的な速さではライバルに引けを取るものの、現実の路上で楽しむべきフィーリングにおいては、まだ一線で戦える。ただアイドリングストップが備わらないのはいただけない。

乗り心地はLC500の美点のひとつだ。ボディは闇雲に高剛性を目指すのではなく、入力によって変形することを前提に、フレーム全体のねじれ特性を均一化したという。このことが快適性の向上のみならず、正確なハンドリングにも寄与していることは間違いない。前後ともにマルチリンク式のサスペンションは応答性が高く、オプションの21インチタイヤ&ホイールが装着されたテスト車でもバタつくような素振りはなかった。

インテリアは、ルーフ、ドアトリム、シート、ステアリングホイールなど、ほぼ全体がアルカンターラとレザーのコンビネーションで彩られる。シートとステアリングホイールを電動で調整して適切なドライビングポジションをとると、長時間座っていても快適さは損なわれず、主要なスイッチも手を伸ばせば届く位置に配置されていて使いやすい。10.3インチのワイドディスプレイは新しく見やすいが、操作用のタッチパネルに慣れを要するのと、カーナビが旧態依然としていて、なにかこう、ワクワクさせる要素に乏しい。

レクサスがニッポンのプレミアムカーだと実感できるのはラゲッジスペースだ。昨今キャディバッグのことを一切考慮しないプレミアムブランドが多い中、長年松山英樹をサポートするなど、ゴルファーに寄り添うレクサスは、クーペだからといってラゲッジスペースを軽視しない。フルサイズのキャディバッグを真横に積載できるだけの左右幅が確保されるほか、コンパクトバッグの天地を互い違いにすれば2個入れられるだけの奥行きもある。この点は多くのライバルに対する明確なアドバンテージといえよう。

LC500 Lパッケージの価格は1300万円。ハイブリッドのLC500hは50万円高の1350万円だ。今後、スポーツカーの古典となるであろうV8エンジンを最新のレクサスで今のうちに存分に楽しむか、電気仕掛けのハイテクをエコだけではなくパフォーマンスにも適用した肉食系ハイブリッドを選んで知的に飛ばすかは相当に悩ましい。

LEXUS LC500
車両本体価格:13,000,000円(税込)

  • ボディサイズ|全長4,770 × 全幅1,920 × 全高1,345mm
  • ホイールベース|2,870mm
  • エンジン|V型8気筒DOHC
  • 排気量|4.968CC
  • 最高出力|477ps(351kW) / 7,100rpm
  • 最大トルク|540N・m / 4,800rpm
  • Text : Satoshi SHIOMI
  • Photographer : Koichi Shinohara
  • Golf Course : Tomisato Golf Club

問い合わせ先

レクサスインフォメーションデスク
フリーダイヤル:0800-500-5577http://lexus.jp/

SHARE

BRUDER

BRUDER

この記事が気に入ったらいいね!しよう

BRUDER公式アカウントから最新情報をお届けします

LOOKBOOK

BRUDER SOCIAL

Webマガジン”ブルーダー”の
公式ソーシャルアカウント

BACK TO TOP

ページトップへ戻る
メニュー